ボストロール、恋をする

2015/12/20
13:49

毎日アリアハンにエンカウントする

『ボストロール』

とお供の

『きめんどうし』

そんな奴等も実はメスだったのです。

30歳を越えた今でも

奴等の個体名は覚えていません。

当時ですら体重で識別していました。

前回のお話で

ボストロールがお気に入りを決める

しかし

『頭数が合わない』

というお話で終わりました。

「数が合わないんだから被っても仕方ないじゃない」

僕はそう思いました。

しかし人間界に迷い込んだモンスター達は

小さな村社会のようで

どうやら僕たちの考えは通用しないようです。

そんなモンスター達は獲物の取り合いをするのか？

と、考えていたのですが

奴等はここでも

『重量至上主義』

のようです。

「より多くの獲物を補食して肥えた私は
個体として優れている」

とでもいうのでしょうか。

争いは起きず、体重の多い個体から優先的に獲物を選べるようです。

理解できました。

悪く言ってますが、そんなモンスター達のお陰で夕食にありつけているのも事実。

さらに話してみると中々気の良いやつらです。

こうして、初めてのモンスターの友人？

お客様が出来ました。

しかし忘れてはいけない。

僕らは

『モンスターに狙われている』

のです。

僕にも勿論担当モンスターがいて

そのモンスターの特徴はというと

『きめんどうしからボストロールにクラスアップしたばかりの中堅。
体重は75キロくらい』

の強者です。

僕も水商売を始めた頃から比べると
ある程度レベルが上がりましたが

まだまだこのレベルのモンスターを相手にするのは早いです。

終始押されっぱなしで試合は進みます。

「かずくん、からあげ食べる？」

「かずくん、終わったらやよい軒行こう？」

と、色々な誘惑をしてきます。

しかし、からあげは毎日奴等の来店と同時に食べているのでもう飽きています。

いえ、そういう問題じゃなく

エサで釣ろうとする悲しきモンスター。

人間界には慣れてきたようですが
すごく不器用なんです。

そして有るとき大事件が

それは僕の担当のモンスターが来ていないときに起きました。

僕らのお店に『きめんどうし』１体が現れました。

いつもはボストロールの横で大人しくしているので
すごく珍しいです。

そして『きめんどうし』は僕を席に呼びつけます。

そして僕が席に行くと『きめんどうし』は

そっと

『からあげくん』

を差し出してきます。

もはや恒例行事です。

不器用な奴等は自分の好物を渡せば相手が喜ぶと思っているのです…

僕はお礼を言い、からあげくんのチーズ味を食べます。

モンスターも僕が『からあげくんレッド』は苦手なのを分かっているようです。

そしていつもより更に赤らんだ顔で僕を見ています。

「仲間に…なりたいのか…？」

僕はこう思いましたが、どうせ仲間にするなら

『スライムナイト』

の方が良いと思いました。

すると『きめんどうし』は

「ボストロールCが居るからいつもは遠慮してたけど…私もかずくんの事が…好き…」

と、言いました。

僕は感動しました。

「なんて日本語がうまいモンスターだ！」

とね。

しかしなぜでしょう。

赤らんだきめんどうしから香るからあげの匂い。

全然響きません。

これが『山本美月』みたいなかわいい子だったら
最高なのにね。

そんなこんなで『きめんどうし』の攻撃をやり過ごしていると

ボストロール達が現れた！

そしてボストロールCが僕らを発見すると

何も言いません…

しかし凄い形相です。

きっと力を溜めているのでしょう。

そしてモンスター達が全員集合するんですが

そこで違和感を覚えます。

どのモンスターも『きめんどうし』の存在を無いものとしているようなんです。

「マヌーサかな？」

とも思いましたが

どうやら先程の抜け駆けを皆許していないらしく

きっと秘密裏にメールなどで

「きめんどうしハブで」

というような会議があったのでしょう。

そして次の日から『きめんどうし』はお店には現れませんでした…

僕は

モンスター界の闇

をその日見たのです。

終わり(^q^)